学生の未来を照らす「ワクワクする学びの場」へ ~わずか1 年で実現した実習室改革の軌跡~

施設外観

学校法人ベル学園 岡山医療福祉専門学校

「楽しくなければ看護じゃない!」「ワクワクしなけりゃ介護じゃない!」
この言葉を教育理念に掲げる、岡山県内で60 年近い歴史を持つ専門学校があります。
岡山医療福祉専門学校は、「赤毛のアン」をテーマにした唯一の認定校として、明るく温かな校風を育みながら、地域に根ざした看護・介護教育を続けてきました。
そんな伝統を持つ学校が今、新たな教育への挑戦として実習室改革を実施。わずか1 年で最新のシミュレーション教育の環境整備を実現しました。
今回は、このプロジェクトの中心メンバーである久保先生にお話を伺いました。

「変えたい」その想いが、学校を動かした

ICT 化を追い風に、わずか1 年で実現した実習室リニューアルの舞台裏

改装前

改装前の実習室の様子

漠然とした思い

私がこの学校に着任してからだいぶ経ちますが、実習室の環境を見直したいという漠然とした思いが、ずっと心の奥にありました。
ただ、どのように変えるのか、何に特化した実習室にするのかという具体像までは持っておらず、どうすればよいか頭を悩ませていました。
2022 年頃から、新カリキュラムでICT化が謳われるようになり、さらに、臨床判断能力を養う学習が重視されるようになりました。同時期に、京都科学から実習室を整備した学校の話を聞き、施設見学に行くことになったんです。そして、実際に事例を目の当たりにしたことが、実習室改革のスタートラインとなりました。

教育の転換点

以前は紙の教科書や印刷した学習プリントを活用した授業が中心でした。
また、実習室にはモニターがなかったため、教員が手技を見せる際、学生が一か所に集まって見学していました。クラスの半分ずつ演習を行うなど、時間も手間もかかっていたんです。そんな中でICT化が求められ、「ペーパーレス化を進めるべきではないか」「電子教科書のほうが今の学生には合っているのではないか」という話が出てきました。
学生に合わせて学ぶ環境を変えるのであれば、教員もこれまでと同じではいけません。
そこで、実習室も電子化して今の学生に合った教育がしやすい環境へ変えていこうという気運が高まっていきました。

教員チームと事務長の後押し

私はこの学校で長年勤務してきましたが、他の学校から移ってきたきた教員もいたため、「以前の職場ではどうだったか」「どんな教育をしたいか」といったヒアリングから始めました。
また、若い世代のICTに強い教員にも、相談役として加わってもらうなど、みんなの協力を得てプロジェクトが進行しました。
「変えると決めたなら、先延ばしにせず、その年にやろう!」と、事務長が背中を押してくれたことも大きかったです。夏休みに工事をするなら、3 月には計画を立てなければならない、と逆算して進めました。予算には厳しかったですが、最後は「やりたいようにやらないと中途半端になる」と任せてくれました。

プロセス

2024年
夏ごろ

実習室改革の話が持ち上がる アイコン 教員同士で意見を出し合い、「どういう教育がしたいか」「何を取り入れるか」について論議

2024年
9月

施設見学にて情報収集 アイコン 先進校の視察等を通じて、最新の教育環境や設備について情報収集

2024年
年度末

実習室の計画案を提出 アイコン 教育の流れや学習の導線を考え、最適なレイアウトと設備を設計

2025年
夏休み

工事 アイコン 夏休み期間を活用して、スピーディに工事・機材の導入を実施

2025年
秋

新実習室完成! アイコン 新しい実習室で、ICTを活用した実践的な学びがスタート!

臨床判断能力を育む環境づくり

ICTを活用したシミュレーション教育で、学生主体の学びを実現

空間設計

久保先生

シミュレーションルームだけでなく、ほかの部屋にいる学生も様子を見られるようにしたいと考えました。オンラインでつなぐことで、密集せずにシミュレーションの様子を見られるようになり、録画して後から振り返ることもできるようになりました。

図面

主な導入機材

B 看護基礎実習室

電子機器:
 電子黒板 86インチ
 モニター 65インチ
 マイク・スピーカー
 ミキサー・アンプ

C 看護各論実習室

電子機器:
 電子黒板 86インチ
 マイク・スピーカー
 ミキサー・アンプ

D シミュレーションルームコントロールルーム

シミュレータ:
 K-168 CPS実習ユニットII
 MW27 多職種連携ハイブリッド
      シミュレータ SCENARIO

電子機器:
 カメラ(天井/手元)
 マイク・スピーカー
 ミキサー・アンプ
 電子黒板 86インチ

備品:
 ベッド・ベッドサイドテーブル

E ディブリーフィングルーム

電子機器:
 電子黒板 65インチ

こだわり ワンポイント

楽しく学べる・気分も変わる!部屋ごとにテーマカラーを設定

看護基礎実習室
看護各論実習室
シミュレーションルーム

授業設計

シミュレーション

シミュレーションルームは、臨床推論や臨床アセスメントに関する授業などを通じて基礎知識を身につけた学年で活用しています。患者さんに何が起きているのか、どう対応すべきかをグループで考えることが目的です。シミュレーションを行う学生、電子黒板に意見を書く学生、別室で見守る教員、見学する学生など、それぞれが役割を担いながら学びを進めています。
SCENARIOの活用
  症例ごとに内容を変えたオリジナルシナリオを約15本作成。国家試験で扱われる疾患も取り入れ、患者さんの状態が変化する設定を通して、学生が主体的に考え、臨床判断力を養える授業を実践しています。   COPD患者の看護
くも膜下出血
痙攣患者
急性心筋梗塞
胃潰瘍    etc
写真:SCENARIO

ここが知りたい! Q and A

Q:新しい環境での学生の反応は?

A:モニターの音声まで聞こえるので、病院にいるような臨場感があります。現場さながらの緊張感があり、「もっと早くこういう環境で学びたかった」と卒業前の学生からも声が上がっていました。

Q :ICT化による機材導入で教員間に混乱はありましたか?

A:現在は、機材に慣れた教員と不慣れな教員がペアになって授業を行っています。実際に使いながら「こんなこともできるよ」と情報を共有し、お互いに支え合いながら活用の幅を広げています。

Q :入学希望者や地域での反応は?

A:入学希望者の保護者には看護師の方も多く、「教育環境が整っているので、臨地実習でも安心ですね」といった声をいただきました。高校生本人よりも保護者から反響をいただけたのは、思いがけない効果でした。
また、充実した教育環境を整えていることは、就職先となる病院へのアピールにもつながります。学校での学びが、臨床現場で生かされることを期待しています。

写真:久保先生

久保 美紀 先生

看護学科 学科長兼教務主任

今後の展望 「もっと身近なシミュレーション教育へ」
シミュレーション教育は考える授業を中心に活用していますが、今後は基礎的な演習でももっと気軽に使えるようにしたいですね。シミュレーターやシナリオを取り入れることで、より臨床に近い緊張感のある技術試験や、実践的な学びにつなげていきたいと考えています。

画像:学校のマーク

学校法人ベル学園 岡山医療福祉専門学校

お手本はアンの家。アンの生き方。
「赤毛のアン」のグリーン・ゲイブルズのような学舎で学び、夢を咲かせる

岡山医療福祉専門学校は、約60 年の歴史を持つ看護・介護福祉の専門学校です。「赤毛のアン」の世界観をモチーフにした校舎は、国内で唯一公式に認定された「The School of Green Gables」。前向きで思いやりのある人材の育成を理念に掲げ、日本の社会福祉発祥の地ともいわれる岡山の地で、地域に根ざした教育を続けています。

担当スタッフより

今回の設備改修では、久保先生が他施設を見学し、具体的なイメージを学校に持ち帰り共有していただいたことで、プロジェクトがスムーズに進行しました。何より印象的だったのは、設備を導入するだけでなく、SCENARIO を活用してオリジナルの患者シナリオを作成するなど、教育に積極的に取り入れてくださっていることです。テレビ取材で、学生の皆さんが生き生きとシミュレーションに取り組む姿を見て、教育環境づくりに携われたことを大変嬉しく感じました。

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